毎年秋に、北イタリア日本人会主催の秋の親睦音楽会がミラノの「Casa Verdi」で開催されており、今年度私は出演依頼を受け、マンドリンクインテットのメンバーの一人として演奏しました。
11月1日、秋晴れのすがすがしい日よりで16:00から約2時間、北イタリアで活躍している日本人音楽家が日ごろの成果を披露しました。器楽演奏はなんと私達クインテットとヴァイオリンとピアノのデュオのみ。あとは、十数人のオペラ歌手の歌でありました。当初、演奏時間10分以内と決められておりましたので、短い曲とメイン曲を二つ選びました。最後のアンコール曲は「真っ赤な秋」。1週間前、日本人音楽家西山みきさん(*2)に私達クィンテットでの伴奏のアレンジを依頼し、短い期間ではありましたが、西山さんはきっちり間に合わせてくれました。
歌が多い中、マンドリン演奏は珍しかったこともあり、お客様は楽しく聞いて頂けたようでした。舞台と違い、大きな広間でお客様もすぐ近くに座っていらっしゃり、Verdiの肖像画を背に演奏することが出来、大変光栄な機会を得られました。
11月14日(土)21:00より、ブレーシャのある教会で西山みきさん主宰のアンサンブル「Armonie in Pizzico」のコンサートで演奏しました。今回は若手男性チェリストが新メンバーとして初参加しました。最初の曲は、まさに彼のためのバッハの「アヴェ マリア」。チェロのソロとギターの演奏で、音色が教会の中に響き渡り、心に染み入るようでした。。。またギターソロとの共演、新しい曲も今回披露し、内容あるコンサートでした。
その夜は少し寒かったのですが、やはり教会は暖房がないこともあり、演奏始めてから徐々に寒さが石の床からじわじわと伝わってきて、中間から手が冷たくなり始め、演奏に支障が出ないかとひやひやでした。幸い、無事最後の曲まで演奏出来ましたが、冬場の教会での演奏は厳しいですね。次回もしあるときはカイロを準備しなければと思います。
この日の前日、パリの多発テロが起きたこともあり、フランス国歌「La Marseillaise」を急遽アンコール曲の一つとして演奏しました。観客の皆さんは曲が始まるとすぐに起立し、この悲劇に対する哀悼の意を表し黙とうを捧げました。
実際、この日は気分は重く悲しい思いで一杯でした。。。イタリアでは、終日このニュースが流れており、その画面を見てその悲劇の悲惨さ、リアルさを目にし、隣国のこの大きな惨事を、近い距離でとても身近に感じました。ローマを標的とする噂もあり、ミラノでも起きうる可能性を危惧しています。緊張感を持つ必要があるでしょう。
<生活編>
昨年夏から1年少し住んだ家は、ミラノ中心地から離れており、いつかもう少し便利な地域に住みたいと思っていた矢先に偶然、希望にあった物件を見つけました。なんと”Casa Verdi”と目と鼻の先。一目見て気に入り契約して引っ越しました。音楽活動が忙しくなりそうなので、交通の便が良いこの地域はとても快適です。
仲介業者を通して契約するのは初めてでしたが、日本の会社の総務部で仕事していた経験が役立ちました。私はオフィス契約と社員寮・社宅の契約管理をしていたので、国は違えど仕組みは同じでした。私は殆ど仕事しているモードでイタリア人担当者と条件交渉しました。
当初の契約条件が一部私の希望と異なっており、一通りの条件を聞いた後に、自分の条件を4つ提示して(家賃の値引き、解約予告期間の変更、契約開始時期、仲介業者手数料税込みにすること)、当日夕方に全ての私の条件がOKとなり、無事契約と相成りました。ミラノ在住の友人から色々教えて貰い、敷金の相場、契約期間、契約更改時の条件、仲介手数料の計算方法、契約時の小切手の支払い方法など。これを知っていて臨むと、先方の対応がかなり違うと思います。外国人であるけれど、適当に丸め込められないように事前準備は必要です。
賃貸契約にも二通りあり、税務署への税支払い方法が異なったり、ゴミの税を支払う申請をミラノ市に申請すること、光熱費の名義を自分にすることなど細かいことがあり、とても勉強になりました。幸い大家さんはとても親切で全ての手続きを代行してくれました。書類も完璧で、信頼ある仲介業者で幸運だったと思います。この手のトラブルは時折耳にするので注意が必要です。新しいアパートは家具・寝具・食器類等全てが清潔で新しい物で揃えられている物もあり、大家さんの温かい配慮を感じました。
*1Casa Verdi(Casa di Riposo per Musicisti)
ジュセッペ・ヴェルディがミラノのPiazza Buonarrotiに設立した音楽家の為の憩いの場。Casa VerdiはCasa di Riposo per Musicistiの通称。1899年建設。1901年1月27日に息を引き取った偉大な作曲家はこの建物の中にある礼拝堂に眠っている。(北イタリア日本人会会報より借用)
*2西山 みき
イタリア国立音楽院のマンドリン科、ピアノ科をそれぞれ審査員満場一致の最高点で修了。2014年クラヴィチャンバロ科の学士号も取得。アーラ氏国際コンクールで2部門にて第1位獲得。(北イタリア日本人会会報より借用)
*3ブレーシャ(Brescia)
ロンバルディア州都ミラノの東約81kmに位置し、その周辺地域を含む人口約19万人(州で二番目)の都市。