6月に青少年保護庁が世論調査機関SWGを通じてイタリアの14~17歳を対象に行った意識調査の結果が大変興味深い。いくつかの質問と回答者の割合を挙げてみるので、日本の青少年と比較してはいかがだろう。
「国を信頼している」は60%、「大統領の名前を知っている」が75%はまずまずとして、「国歌を聞いたときに自分も歌う」が43%に上るのには驚いた。
イタリア国歌は子供には理解が難しい比喩があるため、従来はあまり歌われなかった。左派政党からも推された数代前のチャンピ大統領(元イタリア銀行総裁)がオリンピックの壮行会で選手の座席に国歌の歌詞を書いた紙を置くなどして、国民に国歌を覚えさせようと努力した結果だ。
また、「イタリア共和国憲法の概要および第1条を知っている」が80%に及んだことにも驚いた。
日本で青少年はもとより、護憲派にしても改憲派にしても、どれほどの人が日本国憲法第1条をそらんじることができるだろうか。
ただ、「政治家を信用している」は14歳と15歳が24%、16歳と17歳になると一挙に17%に低下して、さらに年齢が上がると、どこまで信頼度が低下するのか分からない。これはどの国でも同じような状況ではあるまいか。
坂本鉄男
(2015年9月13日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)