ミラノの公共交通機関

朝、学校に行くためバス停で待っていると、大抵お年寄りの女性と出会います。とても気さくで、よく話しかけてきます。「今、丁度行っちゃったのよ!待たなければならないわ!」そして、日常話となります。「今日は寒いですね」と言うと、「あら、あなたはズボンで暖かいでしょ?私はいつもスカート、ほら、この通り」と厚手のタイツではありながら、確かにスカート。「私達の年代は、ズボンなんて履いたら皆に笑われたわ。ずーっとスカートよ。それに、サイズもね?ないしね。」と得意そうにお話しされます。「あなた、家は近く?私はあそこよ」と。ある日毛皮のロングコートを颯爽と羽織り、背筋をまっすぐとのばしていたあるお年寄りの女性。なんと、7センチはあろうかのハイヒールでしゃきっとした綺麗な脚!それも、タイツでなく肌色の透明ストッキングでした!結構寒い朝にも関わらず。。。

バスに乗っても、ご主人はすぐ空いた席に座ってましたが、奥様はよろけることもなく立って乗っていらっしゃいました!大抵ロングの毛皮コートを着用しているのはこういうご年配の女性です。この女性は背中が曲がっておらず、後ろ姿が美しく、さすが、イタリアマダム!と拍手したくなる光景でした。

2月から電車の運賃が値上がりました!ブレイシャ(*1)に行くときに、「えっ?値上がった?」と券売機の前で、ビックリ。またブレイシャ駅の2台の乗車打刻機はかなり前から壊れていて、沢山の人が乗車券を何回も入れて、「?」の状態です。私はその場にいるときは、「これは壊れています。あっちは動いています。」と電車を待っているときは何回も教えてあげている次第です。人々は「Grazie! E’ molto gentile!」と言う訳です。(値上げはするのに、何故修理しないのか? 誰も言わないから?)

先日、ミラノ中央駅で往復の乗車券を購入し、時間がなかったので、すぐその場を離れようとしたら、若いアフリカ系の女性が「Padova(北イタリアの町)に行きたいので、買い方分からないので片道乗車券を買ってほしい」と頼まれました。

イタリア語が余り出来ない方で取り敢えず急いで、画面で探して約1時間後の電車を勧めて、支払い画面になった時、その券売機は現金は扱っていないことに気づき、そのことを言うと「私のカードで買って下さい」と言って、現金を私に差出したのです。それは余り気が進まず、時間がないにも関わらず他の現金扱いの券売機に行き彼女の切符を買ってあげて、説明してすぐ私はホームに走りました。

私の電車は発車まであと5分しかなかったのですが、幸い間に合い、(まあ手伝ってあげて良かった)とは思いました。彼女がとても喜んでましたから。。。しかも切符を手渡した時、いつの間にか怪しげな男が私のすぐ隣におり、「お釣り出てるよ」と言って、チップ貰おうと手を差出したので、私は無視して彼女にすぐ渡しました。盗られなくて良かった!(*2)

自動券売機はもっと注意が必要です。私は大きい駅の場合、なるべくオープンでない、チケットオフィス内かガラスで囲まれた鉄道職員がいるところで買うようにしています。外にある券売機には、買い方を教えて小銭を稼ごうとする怪しい輩が沢山居て、極力そこでは買いません。

大体外国人が狙われており、強い口調で断わらないと危険なのです。昼間ならまだ人目もありますが、夜間はお釣りをかすめ取ったり、何かを盗まれる危険性が大なのです。この券売機は最初の画面で必ず「ひったくりにご注意!」とアナウンスします。

また、他の人が使って正常に動いているかどうかを確認してから購入するのがベターです。€50も入れてお釣りが出ず、画面も戻らない人を何回も見ました。その券売機はその前の人が「動かない!」と言っていました。急いでいたのか入れた€20諦めてその場を離れていました。>私はいつもクレジットカードを使い今のところ失敗はありませんが、いつカードを飲み込まれるか、心配しながら使ってます。

兎も角、時間に余裕を持って購入しないと上手く行かなかったとき、電車に乗り遅れる可能性がかなりあり得ます。間違えてチケット売り場で変更をしなければならない時は数時間待つこととなります。小さい駅なら並んでいる人数にもよりますが、大きい駅でしたらいつ出来るかは全く予想できないほどの人が待っているのです。

先日、ミラノ中央駅のコンコースに行ってビックリ。今まで改札がなく自由に出入りするシステムが、低い柵が設置されて入口で何と職員にチケットを見せてホームに入るようになってました。つまり、無賃乗車を食い止めるための措置がようやく始まったのか?いよいよ自動改札が設置されるのか?近いうちにまた確認しに行こうと思っています。

ミラノはもうすぐEXPOが開催されますから、少しづつ色々なことが改善されるのと期待されますが、どこまで間に合うのか?しかしこの催しは全国から様々なひったくりやスリなどが集結するようですので、かなり注意が必要です。周りでは皆そんな話をしています。お祭り系は全て同じですが。。。

またミラノにはトラムが沢山走っております。まあ、ゆっくりで時間がかかりますが。そして、時々電流不足で停車し、乗客全員が「しょうがない。。」といった表情で黙って、下車し、次の電車を待ちます。最初、意味が分からず「どうして?」と他の乗客に聞いたところ、「Senza corrente!(*3)」と言われ、あ~ 電気来ないわけ?と納得。

また、ある日は自宅近くの停留所に泊まるはずの27番トラムに乗って2~3駅走ったところ、いきなりアナウンス。「このトラムは今から12番になるので、27番の乗客はお乗換ください」と。。。「えっ?」と思っている間に、手動で、行先をくるくると回して換えていました。他の乗客に「何故?」と聞きましたが、「分からないよ!」という表情とジェスチャー。正しい行先に乗ったからといって、目的地には辿りつかない場合がある交通機関のイタリアです。

(編集部注釈)
*1:ブレイシャ(Brescia) 州都ミラノの東約80kmの街
*2:在ミラノ日本国総領事館から「北イタリア治安情勢通報第6号:~ミラノ中央駅発ヴェネツィア行列車に御注意~」が発表されています。ミラノ中央駅を利用される方はご一読をお勧めします。
*3:Senza corrente! (電気)不通