Auguri di buone feste con origano! オレガノでよいお年を!

こんにちは。2014年も残すところあとわずかとなりました。何かと忙しい時期ですが、皆さま寒さに負けず元気にお過ごしでしょうか?年の瀬のイタリアは、冷たい冬の空気にイルミネーションが美しく輝いています。今年最後のお便りは、イタリア料理を代表するハーブのひとつオレガノがトピックです。

オレガノoriganoはシソ科ハナハッカ属の多年草の総称です。30ほどの種類があるとされ、一般的に料理でおなじみのオレガノは学名Origanum vulgareという品種にあたります。夏に咲く小さなかわいらしい花にちなみ、花薄荷(ハナハッカ)という和名をもっています。原産は地中海沿岸と言われ、海岸沿いや森林、石の多い丘などに群生しています。オレガノの中には、オレガノ・ケントビューティ―などのように品種改良された観葉種も多くあります。

さて、イタリア語origanoの語源は、ὀρίγανον (または ὀρίγανος) というギリシア語のことばにさかのぼり、もともとは「山の輝き」、「山の喜び」という意味を持っていたようです。その後、ラテン語の origănum (または origănus)を経て現在のoriganoという単語になりました。地方によってoriganoには別名もあり、アンチョビ・ペーストの香り付けに使われていることからトスカーナ地方ではacciughero(アッチューゲロ)やerba acciuga(エルバ・アッチューガ)の名でも親しまれています。

オレガノは古くから人々の生活に取り込まれていた植物で、古代ローマでは消化不良、けいれん、かゆみ、扁桃腺炎、おたふくに効く薬草として広く知られていました。現在でも消化促進や口内殺菌の薬に用いられたり、リキュール、香水、石鹸を作る際に用いられたりしています。

そして、オレガノは料理に使うハーブとしても古い歴史を持っています。乾燥させたオレガノの葉は、ほんのりと苦みのきいた芳しい香りのハーブ。イタリアをはじめ、地中海沿岸地方のキッチンには欠かせない食材です。肉や魚はもちろん、トマトとの相性も抜群。オレガノを使った代表的な料理の一つは、ナポリの肉料理pizzaiolaピッツァイオーラ。オリーブオイル、ニンニク、オレガノ、フレッシュトマトで作ったソースでお肉を煮込みます。

バジルと同じくオレガノはpizzaにも欠かせないハーブです。定番のマルゲリータと人気を二分するpizza marinara(トマトソース、ニンニク、オレガノ、オリーブオイルのピッツァ)や、ナポリではromanaとよばれるnapoletana(トマトソース、モッツァレッラチーズ、アンチョビ、オレガノ、ケイパー、オリーブオイルのピッツァ)が有名です。

オレガノのシンボルは「繁栄」。古代ギリシアではオレガノの花輪で新郎新婦の頭を飾ったと言われています。オレガノのピッツァをつまみながら新年を迎えるのもまた一興、なんとも縁起がよさそうです。どうぞ皆さまよいお年をお迎えくださいませ。Auguri di buone feste!!

 

ダンテ・アリギエーリ・シエナ

ヴァンジンネケン 玲