カモミールcamomillaは一部のキク科の植物の総称です。とりわけ有名なのは、ジャーマンカモミールとローマンカモミールの二つ。一年草のジャーマンカモミールは、イタリア語でcamomilla comuneやcamomilla volgareと呼ばれています。もう一方のローマンカモミールは多年草で、イタリアではcamomilla romana、camomilla inglese、camomilla nobileの名で親しまれています。
イタリア語camomillaは、ギリシア語のχαμαίμηλονからラテン語chamomillaを経てできた言葉と言われます。もともとの意味は「大地のリンゴ」。カモミールの花が放つリンゴのような香りに由来するようです。
イタリア語でcamomillaと言えば、植物自体を意味するのと同時にカモミールティーのことも指します。それほど生活に密着しているカモミールのハーブティーは、眠る前に飲むお茶として特に有名です。乾燥させたカモミールの花を煎じたお茶にはリラックス効果があるため、不眠に悩んでいたり、ストレスの負荷が高まっていたりする時にはありがたいお茶なのです。トスカーナ地方では、レモンをちょっぴり垂らしてお砂糖やハチミツを入れて飲みます。
そのほかにもカモミールには様々な作用があると言われ、4000年以上も前から人類の生活に取り込まれていました。古代エジプトでは聖なる植物として太陽神ラーに捧げられていたほか、マラリアの治療にも用いられていたようです。アラビア文化圏ではリューマチの治療などにカモミールの精油が使われ、また、アングロ・サクソン族の古書によればカモミールは聖なる9植物の中で最も力を持つ薬草でした。
ダンテ・アリギエーリ・シエナ
ヴァンジンネケン 玲